法令違反対応【ニュースで学ぶ外国人雇用11】不法就労助長罪を厳罰化 悪質なブローカー排除

【ニュースの要約】(2024年2月29日JIJI.COM)
●政府は、不法就労する外国人の雇用やあっせん行為を取り締まる「不法就労助長罪」を厳罰化する方針を固めた。
●法定刑を現在の「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」となっている。「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金」に引き上げる。

【One Point Lesson】「不法就労助長罪
不法就労となるのは、次の3つの場合。
1 不法滞在者や被退去強制者が働くケース
(例)密入国した人や在留期限の切れた人が働く。退去強制されることが既に決まっている人が働く。
2 出入国在留管理庁から働く許可を受けていないのに働くケース
(例)観光等の短期滞在目的で入国した人が働く。留学生や難民認定申請中の人が許可を受けずに働く。
3 出入国在留管理庁から認められた範囲を超えて働くケース
(例)外国料理のコックや語学学校の先生として働くことを認められた人が工場で作業員として働く。留学生が許可された時間数を超えて働く。
不法就労助長罪は、①事業活動に関し、外国人を雇用するなどして不法就労活動をさせる行為、②外国人に不法就労活動をさせるために、自己の支配下に置く行為、③業として、外国人に不法就労活動をさせる行為、又は②の行為に関しあっ旋する行為を処罰の対象とする。
●両罰規定もあるため、代表者及び法人の双方が処罰される可能性あり。
●これに加えて、一部の許認可においては、不法就労助長罪に処せられた場合、罰金刑にとどまっても許認可の欠格事由・取消事由に該当する場合がある(代表例は、労働者派遣事業及び有料職業紹介事業の許可)上、技能実習生や特定技能外国人の受入れにも深刻な影響(欠格事由や取消事由に該当する結果、雇用継続不可、一定期間新規受入れ不可)あり。
*労働者派遣における派遣先や請負契約等、直接の雇用関係がない場合であっても、不法就労助長罪が成立する可能性あり。
●たとえ会社側に故意がなかったとしても、在留資格の確認を怠るなどの不注意や入管法等の法の不知があった場合についても成立する(ただし、過失がない場合には不法就労助長罪は不成立)。
*例えば、外国人を雇用しようとする際に当該外国人が不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードを確認していない等の場合には過失があると認定されるため、処罰を免れない。